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雫の水音

雫の水音

19章~繋がり~


真っ白い鳩が
大聖堂の鐘の音と共に
雲1つない青空に
飛び立つ

「そろそろかな?」
聖堂にあるバルコニーに立つ
女性は胸元のペンダントに手を
当て遠くを見つめて呟く



翔は1人部屋で
ロデルトから貰った
石を見ていた

<力が欲しい…
あの時は能力が発動しなかった>


ガチャッ

扉を開く音がした

「体調は、っ!?」
ガバスタは
石を見て驚いた

「小僧、ロデルトとも
知り合いなのか?」

「そうですけど。
この石ですか?」

「やはり、小僧
ただもんじゃないな」

「ロデルトさんって
唯の旅人じゃないん
ですか?」

「いや、何でもない」
ちょび髭を手を撫でながら考えてた
その手は、堅い皮膚で
がっしり覆われていた

「そうだ、体が良くなった

祭があるから、行ってこい」
そう言うとガバスタは
静かに部屋を出た




ガーラは活気に溢れていた

山肌から突き出た家々
工場から出る煙は
火山に吸い込まれるように
空へと

祭は、火山の神を奉る
ための儀式だ
しかし、民は本来の
意味を忘れ宴に更けっていた

「小僧!
今日の祭のメインイベントに
出てみないか?」
ガバスタは、すかっり元気になった翔の肩に手を置いた

「メインイベント?」
翔はどっしりとしたガバスタに安心感を覚えていた

「火山の頂上付近にある
祠で祈るんだ
まぁ、その日だけ祠の
封印が解かれるから
護衛を兼ねてわしは
毎年行ってるのだがな」

「中々、体験出来そうじゃないので
行ってみたいです」
翔は答えた

「そうか、じゃ今夜だ
会わせたい奴もいるしな」
ガバスタは手を腕組みし
低い声で言った



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